活動レポート&里山便り

2011年

 気持ちの良い秋晴れの一日、林業振興会の「どんぐり交流会」が、今年も栃木の那珂川町で開かれました。

 

5×緑の里山ネットワークである馬頭の森の佐藤さんたちが参加するイベントで、5×緑も毎年お手伝いしています。

 

チーム5×緑の矢澤ナーセリー、矢澤さんが「どんぐり先生」として登場。

 

この秋集めたどんぐりをポットに埋めて、子供たちに発芽・育成してもらう取り組み

を今年も行いました。

 

昨年播いて、子供たちが育ててくれた苗を持ってきてもらい、「どんぐりキューブに」。

 

振興会の皆さんからは、「子供たちが育てたどんぐりの苗を5×緑の緑化ユニットに使ってもらい、子どもたちが『自分の育てたどんぐりが東京の街を緑化している』と自慢できるようにできないか」というアイデアも飛び出し、この取り組みは更なる広がりを持ちそうです!

 

この日は、色づいた落葉を使ったしおり作りや手作りのパンを焼く楽しいプログラムが盛りだくさん。

 

お昼には、カマドで炊いたご飯にトン汁、味噌田楽に新鮮卵など、ご馳走の方もモリモリ!

 

準備してくれたお母さんたち、ありがとう!の手作りのおいしさでした。

 

締めくくりは地元の声楽家、岡倉ゆかりさんの青空コンサート。

 

一緒に太鼓やタンバリンをたたきながら、「となりのトトロ」や「上を向いて歩こう」、「モミジ」などをみんなで歌いました。

 

色づき始めた山の樹々に囲まれて、にぎやかな歌たちが青空へ抜けていきます。

 

心温まる"里の秋"の一日でした。

 

 

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お預かりしたドングリ貯金を次の2つの事業に使わせていただきました。


1.100年生のスギ林の間伐に使用させていただきました。
  大きな灌木などが生えていたのを刈り払い、30パーセントほど間伐しました。

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2.3年生のコナラの山の下刈に使用しました。
  現在は下草が生えてきています。

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ありがとうございました。

去る8月3,4日に栃木県那珂川町で開催された都市と里山の高校生の交流会に参加
してきました。
この交流会は、神奈川県の二つの高校と栃木県那珂川町の高校の計三つの高校の
生徒約30名が那珂川町に集い、川遊びや間伐などの里山体験を通して交流すると
いう取り組みです。
その交流メニューの一つに、那珂川町の植物を使って5×緑ユニットをアレンジ
したモニュメントを製作するというのがあって、そのモニュメント製作のサポート
として行ってきました。

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・モニュメントのユニットと那珂川町の植物

 

このモニュメントは今回の活動の記念として、集った高校生達が一緒に作り、
そして参加した三つの高校の敷地内に設置して、夏以降もそのモニュメントのそ
ばを通るたびに、那珂川町での交流やそのメンバー達を思いだせるようにしたい
という思いが込められて製作されました。
ユニットの上面には那珂川町の苗木や野草に加えて、地元を流れる武茂川の河原
の石や間伐作業で発生した木っ端等も一角に置いて、那珂川町の森や川や人々を
シンボリックに現したいという工夫がなされていました。

はじめてユニットを製作する高校生達の眼差しは真剣で、植物の配置や河原の石
や木っ端の使い方など、みんなで相談しながらあれこれ試行錯誤を繰り返して決
めていました。

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中には、"花の咲く植物はどれですか?"とか"この木はどれくらい大きくなる
のですか?"など、植物に興味を持って質問してくる生徒もいました。

普段、植物に触れるという経験がほとんどない高校生達が、植物の姿形を熱心に
観察したり、季節変化や経年変化に思いを馳せ、ユニットを作っている姿はとて
も感動的でした。

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〈追記〉
コンクリートで囲まれた都市で生まれ育ってきた神奈川の高校生達が、
過敏に(ちょっと病的なほど!)小さな虫に拒絶反応を示しながらも、
"なんか~ごみごみした地元に帰りたくないよね~! 将来、こんなとこに住み
たいね~!"などと話しているのはとても印象的でした!

5月16日馬頭訪問。

みなさまに「どんぐりキューブ」を買っていただいてプールした2010年度の「どんぐり貯金」52027円を里山本舗・佐藤昭二さんにお渡ししました。

このお金は、里山の管理作業の費用に充てられます。

日大の生物資源科学部の大澤先生一行は、16日、17日の2日間にわたってフィールドを調査。
16日は先生たちと同行して、5×緑の管理委託エリアなどを回り、都市緑化のための材料提供を視野に入れた山の管理について考えました。

訪れたのはちょうど新緑の美しい季節。
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都市緑化のために森から採取された植物たち / ターフとボット上げした苗。
里山を管理することで再生された植物をこのような形で緑化に活用し、その資金で更なる里山管理を進める。
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フィールドを調査する日大チーム
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大澤先生からは「保全管理見本林」として今後積極的に管理を進める予定のエリアの群落構造や豊かな植生が期待される棚田脇の斜面の植生について新たなデータをいただいた。

それによると「見本林」を樹種別胸高幹断面積割合でみると、コナラが43,2% アオハダ11.9% アカシデ9.0%
本数でみると、アオハダが16.0% ヒノキが11.1% アカシデが9.3%。コナラは6.3%だった。

また、皆伐後、植生の回復が思わしくない箇所に実験的に林床の豊かな場所の土を客土して経過をみたが、結果は思わしくなかった。


多様な植生が期待される斜面地。
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雑木林だけでなく、人工林の林床も今後は管理の対象にしていきたい。
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新緑の足下には野の花が咲き、里山巡りを一層楽しいものにしてくれた。

キンラン                  ハルリンドウ   
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ニリンソウ                  ショウジョウバカマ
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ヤマツツジ                  ハナイカダ
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2月20日(日)、栃木県市貝町と栃木県でオオタカの保護活動や自然保護に取り
組んでいるNPO法人オオタカ保護基金の主催で開催された学習会「サシバに学ぶ
~サシバはなぜ市貝町(ここ)を選んだのか」に出席してきました。
 
会場には地元の子供達や大人が大勢集い、関心の高さが伺える学習会でした。

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学習会は、次の内容で構成されていました。

①NHKで放送された「市貝町の里山とサシバ」の映像資料の視聴
②講演「サシバに学ぶ サシバはなぜ市貝町(ここ)を選んだのか」 遠藤孝一 (NPO法人オオタカ保護基金代表)
③観察学習報告 小貝南小学校
④意見交換会
 
サシバは里山に暮らすタカの仲間・猛禽類で渡り鳥です。
春に日本にやってきて繁殖・子育てして、
冬の間は東南アジアなどの暖かい地域で過ごすそうです。

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市貝町はそのサシバの世界有数の繁殖地になっているとのことでした。
その理由として、サシバの生息に必要な次の環境が存在しているから
とのことでした。

●谷津地形と谷津田の存在
●農業の営み
●営巣地と狩り場の存在

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サシバにとっては水田と林がセットで残っていることがとても重要で、
多様な生物が暮らす里山の環境が必要不可欠とのことでした。
餌としては、カエル類が6割近くと最も多く、他にトカゲ類、昆虫類、
ヘビ類、ネズミ類、モグラ類などを食べるようです。
そして、巣は林内のスギやマツに作り、
餌は田んぼの周りの草丈の低いところで獲るので、
人が暮らし、農業が営まれていることがとても重要だと指摘されていました。
しかしながら、年々農家が減少してきて耕作放棄地が増加してきているのが
大きな問題になっているとのことでした。
 
この問題を解決するために、サシバの生息状況と営農地の特徴から地域を
次の3つに分けて対処するプランが紹介されました。

①河川沿いの広い水田(農業エリア)
②谷の中部の中規模な谷津田(農業と生きものの共存エリア)
③谷の奥部の小規模な谷津田(生きもの保全エリア)

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(出展:オオタカ通信№17)
 
①は効率的に農業を営むことができ、サシバの生息密度も少ないので農業を優先する地域
②は効率的に農業を営むことが困難な場所のため、今後耕作放棄される可能性が高いものの、
サシバの生息環境としては良好なため、保全団体が市民(消費者)と生産者をつなぐ役割を担い、
農業を支援していく地域
③は農道もほとんど整備されておらず、すでに耕作放棄された水田が多いので、
保全団体が土地を借りるなどして、市民の協力を得て保全・管理していく地域
 
学習会の中では、サシバの観察を続けてきた地元の小貝南小学校の生徒達が、
観察を通しての感想なども発表されました。

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子供達は、この観察を始めるまではサシバの名前すら知らなかったそうですが
ヒナが孵り、巣立つまでを間近に観察することができて様々なことを学んだようです。

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市貝町では、今後、サシバの里づくりを進める方向で、
サシバの生息環境の保全に寄与し、安全・安心な作物を生産する有機農業を推進することや、
「道の駅」を拠点として地域の魅力的な資源(自然、文化、温泉など)を巡る散策路を
整備していくようです。
 
 
5×緑としては、今NPO法人オオタカ保護基金と連携していく方向で話しが進んでいるので、
何らかの形でサシバの生息環境保全を応援していくことができるのではないかと思っています。
 
なお、この学習会の様子は、その日(2/20)の夕方6時45分からのNHK首都圏ニュースで
放送されました。
 




5×緑の里山ネットワーク馬頭の森と同じ栃木県で、オオタカの保護活動や自然保護に
取り組んでいるNPO法人オオタカ保護基金が、2月20日に栃木県の市貝町でサシバや今
後の地域振興に関する学習会(ミニシンポジウム)を開催します。
学習会では、猛禽類の専門家も参加しますし、実際にサシバを観察した小貝南小の子
どもたちから報告があります。


また、3月5日には東京・立教大学で、全国的なサシバの生態や保全に関するシンポジ
ウムも開催します。こちらは、ちょっと専門的なシンポジウムになります。


どちらのイベントも詳しくは下記のチラシをご覧ください。


2月20日 学習会「サシバに学ぶ - サシバはなぜ選んだのか」 (市貝町町民ホール)

3月5日 シンポジウム「サシバの繁殖期の生態と生息状況」(立教大学池袋キャンパス)
去る1月23日に里山ネットワークの佐藤さん達が所属する那珂川町林業振興会主催で
「冬の里山体験」のイベントが開催されました。

天気にも恵まれ、とても楽しいイベントとなりました。

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イベントの内容は次の三つでした。
・シイタケ植菌体験
・鳥小屋体験
・落ち葉掻き体験

これに加えて、昨年11月6日に開催された「どんぐり交流会」を記録したDVDを
鑑賞しました。

●シイタケの植菌体験

90cmの長さにカットされたコナラとクヌギにナメコ用のヤマザクラを加えた合計
160本のほだ木が用意されて、それに菌を植える穴を開けて種駒を打ち付けると
いう作業です。

まずはドリルでほだ木に穴を開ける方法を教えていただきました。

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・先生による実演指導です。
ちょうどよい穴の深さで止まるようにストッパーのついたドリルを使用します。

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・みんな真剣な眼差しでやり方を聞いています。

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・はじめて使うドリルも上手に使いこなして穴を空けていきます。

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・シイタケの種駒です。木片に菌を繁殖させたものです。
・シイタケは「にく丸」という品種です。

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・ドリルで穴を開けたところに種駒を差し込みます。

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・差し込んだ種駒を木槌で叩いて打ち込みます。

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・子供達も真剣に作業に取り組んでいました。

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・種駒を打ち込んだほだ木は、5本ずつおみやげでいただきました。



●鳥小屋体験

次は伝統行事「鳥小屋」の体験です。


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・鳥小屋と団子を刺して飾るためのミズキの枝

これは小正月に行われる火祭り「ドンド焼き」と関連した行事です。
ドンド焼きは、村の道祖神のお祭りと結びついている行事で、
村境いなどにある道祖神の像のそばに竹柱を立て、正月小屋を作ります。
そして子どもたちが中で食事をしたりしたあと、小屋に火を放って門松やしめ縄などの
正月飾り、書き初め等を一緒に焚いて、繭玉団子、あるいは餅を焼いて食べる火祭りです。
馬頭では「トンボ団子」(繭玉団子)を焼いて食べますが、これを食べると一年間無病息災で
過ごすことができるという言い伝えが残っています。
この時に作って燃やす正月小屋が「鳥小屋」なのです。
子どもたちは小屋の中で鳥追いの歌を歌って、農作物を食べてしまう悪い鳥を
追い払うというのがそもそもの起源のようです。

今回の体験では、「トンボ団子」をつくり、それをミズキの枝に刺して飾り付け、
その後にご馳走になりました。

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・食紅で赤や緑、黄色などに色づけした米粉で団子を作ります。

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・ミズキの枝に刺して飾ります。

今回鳥小屋は燃やすことなく、小屋の中で昨年の「どんぐり交流会」のDVDを鑑賞しました。

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プロカメラマン米田氏の捉えた表情豊かな写真に歓声が上がっていました。

●落ち葉掻き体験
3つめの体験は「落ち葉掻き」です。
雑木林で落ち葉を集めて堆肥を作るのです。
元々今回のイベント会場一帯では、たばこの生産が盛んで、
その苗を育てる温床づくりのために落ち葉掻きをしていたそうです
今回はかつてのたばこの生産農家で、落ち葉掻きをずっとやってこられた方に
ご指導いただきました。

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・先生方です。
たばこの生産もやめてしまっていて落ち葉掻きは20年ぶりとのことでした。

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林業振興会の方々によってよく手入れされたきれいな雑木林です。
・林床がすっきりしているので落ち葉が集めやすくなっています。

落ち葉掻きは重労働なので、山の斜面から効率よく掻き集める必要があるのです
が、その技が凄かったです。

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・熊手を使って足下に落ち葉を掻き集めて締め固めます。

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・締め固めた落ち葉を二人一組になって大きな固まりに束ねます。

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・束ねた落ち葉を二段重ねにして山から下ろしていきます。

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・参加者も背負って重さを体験しました。

落ち葉は雑木林の中で、立ち木に横に枝を渡したところに茅を立てて仮置き場を
つくり、そこにストックしてから納屋などに小出しにしていたそうです。

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・大勢の作業だったので、短時間で山はすっかりきれいになりました。

落ち葉掻きが終わって山から降りて、甘酒をご馳走になってお開きとなりました。

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馬頭の佐藤さんからお便りが届きました!


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1月30日午前9時から12時までの間、害虫等の駆除を

目的とした、しば焼が行なわれました。

今年は乾燥していたので、よく燃えていました。

消防団が警備に就くのですが、その最中に人家火災が発生して、

大変そうでした。

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