活動レポート&里山便り

学習会「サシバに学ぶ」報告

2月20日(日)、栃木県市貝町と栃木県でオオタカの保護活動や自然保護に取り
組んでいるNPO法人オオタカ保護基金の主催で開催された学習会「サシバに学ぶ
~サシバはなぜ市貝町(ここ)を選んだのか」に出席してきました。
 
会場には地元の子供達や大人が大勢集い、関心の高さが伺える学習会でした。

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学習会は、次の内容で構成されていました。

①NHKで放送された「市貝町の里山とサシバ」の映像資料の視聴
②講演「サシバに学ぶ サシバはなぜ市貝町(ここ)を選んだのか」 遠藤孝一 (NPO法人オオタカ保護基金代表)
③観察学習報告 小貝南小学校
④意見交換会
 
サシバは里山に暮らすタカの仲間・猛禽類で渡り鳥です。
春に日本にやってきて繁殖・子育てして、
冬の間は東南アジアなどの暖かい地域で過ごすそうです。

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市貝町はそのサシバの世界有数の繁殖地になっているとのことでした。
その理由として、サシバの生息に必要な次の環境が存在しているから
とのことでした。

●谷津地形と谷津田の存在
●農業の営み
●営巣地と狩り場の存在

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サシバにとっては水田と林がセットで残っていることがとても重要で、
多様な生物が暮らす里山の環境が必要不可欠とのことでした。
餌としては、カエル類が6割近くと最も多く、他にトカゲ類、昆虫類、
ヘビ類、ネズミ類、モグラ類などを食べるようです。
そして、巣は林内のスギやマツに作り、
餌は田んぼの周りの草丈の低いところで獲るので、
人が暮らし、農業が営まれていることがとても重要だと指摘されていました。
しかしながら、年々農家が減少してきて耕作放棄地が増加してきているのが
大きな問題になっているとのことでした。
 
この問題を解決するために、サシバの生息状況と営農地の特徴から地域を
次の3つに分けて対処するプランが紹介されました。

①河川沿いの広い水田(農業エリア)
②谷の中部の中規模な谷津田(農業と生きものの共存エリア)
③谷の奥部の小規模な谷津田(生きもの保全エリア)

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(出展:オオタカ通信№17)
 
①は効率的に農業を営むことができ、サシバの生息密度も少ないので農業を優先する地域
②は効率的に農業を営むことが困難な場所のため、今後耕作放棄される可能性が高いものの、
サシバの生息環境としては良好なため、保全団体が市民(消費者)と生産者をつなぐ役割を担い、
農業を支援していく地域
③は農道もほとんど整備されておらず、すでに耕作放棄された水田が多いので、
保全団体が土地を借りるなどして、市民の協力を得て保全・管理していく地域
 
学習会の中では、サシバの観察を続けてきた地元の小貝南小学校の生徒達が、
観察を通しての感想なども発表されました。

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子供達は、この観察を始めるまではサシバの名前すら知らなかったそうですが
ヒナが孵り、巣立つまでを間近に観察することができて様々なことを学んだようです。

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市貝町では、今後、サシバの里づくりを進める方向で、
サシバの生息環境の保全に寄与し、安全・安心な作物を生産する有機農業を推進することや、
「道の駅」を拠点として地域の魅力的な資源(自然、文化、温泉など)を巡る散策路を
整備していくようです。
 
 
5×緑としては、今NPO法人オオタカ保護基金と連携していく方向で話しが進んでいるので、
何らかの形でサシバの生息環境保全を応援していくことができるのではないかと思っています。
 
なお、この学習会の様子は、その日(2/20)の夕方6時45分からのNHK首都圏ニュースで
放送されました。
 


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