活動レポート&里山便り
暦の上では立夏を迎えてはや2週間ちょっと。夏の日差しを真正面に受ける日もあれば、長袖一枚では足りないくらい肌寒い日も織り交ざるこの季節に、長年お付き合いいただいている那珂川町林業振興会のみなさんと、里山ユニットに使用するテイカカズラの苗を育ててくださっている奈良さんの圃場にお伺いしました。
栃木県那珂川町を拠点とするみなさんとの出会いは遡ること2007年。里山管理を応援し、生まれた苗木を都市の緑化のためにご提供いただくことで、更に、管理の輪を広げていく好循環を目指す活動を続けて18年が経ちました。2013年にNPO馬頭里山本舗が設立されてからは管理する里山の範囲を広げることができ、年2回「どんぐり交流会」などのイベントも開催され、子供から大人まで楽しめる里山づくりを進めてくださってきました。コロナウイルスの影響により訪問の機会が途絶えておりましたが、先日久しぶりに足を運ぶことがかないました。
午前中は林業振興会と里山本舗が共同で管理する里山「よろこびの森」にお邪魔しました。
目に飛び込んできた光景がこちら。
適度な刈り込みや間伐が行われた林床には様々な実生の苗が顔を出していました。「ギボウシがこんなに沢山!」「立派なエゴノキですね!」なかなか都市部ではお目にかかれない環境で青々と育つ植物一つ一つに感動してしまうため、中々先に進みません。
かつては谷津田だったというなだらかな登りを歩き、少し開けた場所に。ここでは数年前から田んぼの再生がはじまり、有機のお米作りに挑戦しているとのこと。
奥に見える暗い山はネザサなどが優占する人の手が加わっていない山です。管理の行き届くよろこびの森の様子と比べると長年の手入れの差がはっきりと感じられます。
降りた途中にはどんぐり交流会のために作られた森のブランコが。「ぜひ乗ってごらんなさい、気持ちがいいですよ、自信作です!」と薦められいざ漕ぐと...。なるほど、新緑の輝く枝葉にグーッと近づき、森と一体となってしまうような感覚に心が躍ります。
お昼ごはんをいただき、いざ奈良さんの圃場へ。
奈良さんの圃場ではゴバイミドリの側面植栽に使用するテイカカズラの苗を育てていただいております。弊社圃場に送られてくるたびにその育ちの良さや植え付けのしやすさ、梱包の綺麗さに感嘆させられてきましたが、どんな工夫がなされているのか初めて伺うスタッフは気にせずにはいられません。
まずはビニールハウスにお邪魔します。とても整頓されていて、奥にはテイカカズラの生け垣が作られていました。
奈良さんにご案内していただきながら圃場内を回ります。
バットに挿し木されたテイカカズラは無理なく整列されており、いつ挿し木されたかわかるよう番振りがされています。異なる時期に挿し木したときの育ちの違いに合わせ柔軟に対応できるようにするためです。
出荷可能な長さにまで育った苗木は同じ方向に綺麗に並べられていました。芽吹きのときには自立していた苗が成長とともに倒れるようになる時期を狙い、ポットを回転させて株の倒れる向きを揃えているのだとか。
ビニールハウスの外にでるとテイカカズラの親木となっている立派な生け垣が。一同で見守るなか、奈良さんが挿し木の作り方を伝授してくださいました。
その後もう一度ビニールハウスに戻り、ポット上げのデモンストレーションや、土の説明など更に深堀りの時間。あっという間に一日が終わってしまいました。
よろこびの森と奈良さんの圃場。どちらも美しく、無理がなく、そしてなによりも愛
のこもった場所でした。都市緑化は年々注目が高まっており、植物にとってよりベス
トな生育環境が提供できるよう様々な技術開発が行われています。このような進歩も
もちろん大切ですが、植えた草木と向き合い、手入れを施し、愛でる、そのような基
本的な姿勢に勝るものはないことを今回の訪問が裏付けてくれたように思います。
シルバーウィーク週間に味の素スタジアム補助競技場「みどりの広場」の選択除草を行いました。(プランタゴ主催 オフキャンパス)
感染症対策のため、日程を分けての実施です。
この取り組みも8年目を迎えますが、季節ごとの変化はもちろん、毎年毎年草原の表情が変わるのには驚かされます。
一面にチカラシバが広がったり、エノコログサの王国のようになったりしながら、よりかつての武蔵野の野原に近づいているように思います。
ちょうど秋分のこの時期には、カントウヨメナが群生する中にオミナエシやフジバカマ、ワレモコウが頭を出し、虫たちの声も盛んに聞こえてきます。
関東では珍しいハタガヤ、カラスノゴマが新たにみつかりました。
ハタガヤ
今回の作業ははびこったヤブマメの除去。
参加された方々の熱心な作業で、見違えるように綺麗になりました。
栃木の里山の管理の応援をさせていただいている馬頭里山本舗さんから、活動のお便りが届きました。
今回は、森の草刈りを行ったとのこと。
「草には自粛がないようで、何時も通り大変です。」と、ユーモラスなコメントも。
夏至を過ぎ、里山の緑も日に日に深くなります。
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今年も開かれました。
この活動は、小砂地区の森の環境整備を通じて、地域や都市部の住民との交流をしよう !
と続けているもので、このほど国土緑化推進機構の「ふれあいの森づくり」表彰で理事長賞を受賞しました。
イベントのあった14日は生憎朝から冷たい雨。
森の管理の体験をするはずでしたが、この日は矢澤ナーセリーの矢澤さんの指導で、
インテリア用のナギの鉢植えを作ったり、木工を楽しんだりしました。
ナギは、縁を守る縁起の良い木だそうです

木工用に集められた様々な木の実

フウセンカズラの種には可愛いハートの模様

雨でもお母さんたちの炊き出しはいつもと変わらず

テーブルにはビュッフェのようにたくさんのメニューが並びました

2月にしては珍しく暖かい7日の土曜日に、恒例になった冬の里山イベントが行われました。
今回は、本格的な木工体験。
栃木、那珂川町の林業振興会のみなさんの指導を受けながら、木でウサギをつくりました。
インパクトドライバーなど、普段は使わない道具を前に、初めは慣れない手つきも少しずつコツを覚えていくのが新鮮でした。
プロはいとも簡単に道具を扱っているように見えますが、本当は大変なんですね!

カレーライスとおでんのご馳走に、今回は郷土料理のしもつけも加わって、楽しいお昼の後にもう一仕事。
小春日和の里山の午後はゆっくりと暮れていきました。

同じような材料を使っていてもできあがったウサギたちの表情は様々です。


6月24日の里山イベントに参加した夜、一泊して蛍を見ました。
「世界でいちばん美しい村」に登録された那須川町の小砂(こいさご)地区では、
地域ぐるみで環境の再生に取り組んでいます。
その甲斐あって、田んぼにも蛍がかえってきました。

撮影:米田和久
昨夜蛍を見た棚田。
農薬を控え、林縁の刈り払いを行っています。

主催は、5×緑も一員の南那珂川町林業振興会です。
「よろこびの森」は、振興会が補助金やNPO里山本舗の寄付金を活用して森林整備を行っている森です。
ヤブだらけだった森をきれいに手入れして、豊かな林床の植物が蘇りました。
午前中は、森の中の植物観察会。


カマキリの赤ちゃんみつけた!

今年は、振興会のメンバーが除染のお手伝いをしている、飯館林からも応援が。
お昼の時間は、紙芝居をしてくださいました。

午後は、水生生物の観察会。
この田んぼも、振興会の手入れによって再生されました。
裸足で泥の中へ。子供たちの歓声が響きます。
メダカ、ミズカマキリ、ケラ、アカガエルやトウキョウダルマガエル...たくさんの生き物を確認できました。

池にはスイレン。その上をオオシオカラトンボやショウジョウトンボが飛び交います。

大人も童心にかえって。

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