活動レポート&里山便り

2025.05.23 里山訪問レポート

暦の上では立夏を迎えてはや2週間ちょっと。夏の日差しを真正面に受ける日もあれば、長袖一枚では足りないくらい肌寒い日も織り交ざるこの季節に、長年お付き合いいただいている那珂川町林業振興会のみなさんと、里山ユニットに使用するテイカカズラの苗を育ててくださっている奈良さんの圃場にお伺いしました。
栃木県那珂川町を拠点とするみなさんとの出会いは遡ること2007年。里山管理を応援し、生まれた苗木を都市の緑化のためにご提供いただくことで、更に、管理の輪を広げていく好循環を目指す活動を続けて18年が経ちました。2013年にNPO馬頭里山本舗が設立されてからは管理する里山の範囲を広げることができ、年2回「どんぐり交流会」などのイベントも開催され、子供から大人まで楽しめる里山づくりを進めてくださってきました。コロナウイルスの影響により訪問の機会が途絶えておりましたが、先日久しぶりに足を運ぶことがかないました。
午前中は林業振興会と里山本舗が共同で管理する里山「よろこびの森」にお邪魔しました。
目に飛び込んできた光景がこちら。

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適度な刈り込みや間伐が行われた林床には様々な実生の苗が顔を出していました。「ギボウシがこんなに沢山!」「立派なエゴノキですね!」なかなか都市部ではお目にかかれない環境で青々と育つ植物一つ一つに感動してしまうため、中々先に進みません。

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かつては谷津田だったというなだらかな登りを歩き、少し開けた場所に。ここでは数年前から田んぼの再生がはじまり、有機のお米作りに挑戦しているとのこと。

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奥に見える暗い山はネザサなどが優占する人の手が加わっていない山です。管理の行き届くよろこびの森の様子と比べると長年の手入れの差がはっきりと感じられます。

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降りた途中にはどんぐり交流会のために作られた森のブランコが。「ぜひ乗ってごらんなさい、気持ちがいいですよ、自信作です!」と薦められいざ漕ぐと...。なるほど、新緑の輝く枝葉にグーッと近づき、森と一体となってしまうような感覚に心が躍ります。

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お昼ごはんをいただき、いざ奈良さんの圃場へ。

奈良さんの圃場ではゴバイミドリの側面植栽に使用するテイカカズラの苗を育てていただいております。弊社圃場に送られてくるたびにその育ちの良さや植え付けのしやすさ、梱包の綺麗さに感嘆させられてきましたが、どんな工夫がなされているのか初めて伺うスタッフは気にせずにはいられません。
まずはビニールハウスにお邪魔します。とても整頓されていて、奥にはテイカカズラの生け垣が作られていました。

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奈良さんにご案内していただきながら圃場内を回ります。

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バットに挿し木されたテイカカズラは無理なく整列されており、いつ挿し木されたかわかるよう番振りがされています。異なる時期に挿し木したときの育ちの違いに合わせ柔軟に対応できるようにするためです。

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出荷可能な長さにまで育った苗木は同じ方向に綺麗に並べられていました。芽吹きのときには自立していた苗が成長とともに倒れるようになる時期を狙い、ポットを回転させて株の倒れる向きを揃えているのだとか。

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ビニールハウスの外にでるとテイカカズラの親木となっている立派な生け垣が。一同で見守るなか、奈良さんが挿し木の作り方を伝授してくださいました。

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その後もう一度ビニールハウスに戻り、ポット上げのデモンストレーションや、土の説明など更に深堀りの時間。あっという間に一日が終わってしまいました。

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よろこびの森と奈良さんの圃場。どちらも美しく、無理がなく、そしてなによりも愛
のこもった場所でした。都市緑化は年々注目が高まっており、植物にとってよりベス
トな生育環境が提供できるよう様々な技術開発が行われています。このような進歩も
もちろん大切ですが、植えた草木と向き合い、手入れを施し、愛でる、そのような基
本的な姿勢に勝るものはないことを今回の訪問が裏付けてくれたように思います。

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