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「5×緑の学校」レポート:石巻「鎮魂の森」苗木づくりの試み

2019-11-01 (Fri)

5×緑の学校「山本紀久さんと気ままに歩く フィールドツアー 野川公園・深大寺」で山本さんから伺った石巻の取り組みについて共有させていただきます。

ツアーでは、荒々しい台風19号の爪痕の残る野川を歩きました。
気候変動の結果でもある被害を前に、山本さんは「造園家としてこれからは森づくりに取り組みたい。都市の水源涵養の機能を持つ森はこれからますます大事になる」と語りました。

その具体的な取り組みとの一つとして石巻南浜地区の「鎮魂の森」づくりについてお話しくださいました。

東日本大震災において、石巻市では4000人もの命が奪われました。なかでも南浜地区は津波襲来とともに火災が発生し多くの方々が犠牲になりました。
その南浜地区で、「全ての生命に対する追悼と鎮魂、そして記憶と教訓の場」として、復興祈念公園の整備が国と宮城県と石巻市によって進められています。

祈念公園の森づくりにおいては「がれきに覆われた地に人々の思いを込めて郷土の樹木を植え、美しい杜へと時間をかけて再生する」ことを基本方針としています。

山本さんはこの計画の設計に参画していらっしゃいます。
植栽にあたって地元の植木協会が、何年も前から地域性種苗に取り組み、その苗が使われているそうです。
苗木の生産にあたっては、土に計画地の表土を使うことをルールにしています。
埋土種子からの発芽も期待しているといい、「里土苗」と呼んでいるそうです。

公共工事に関わらず植物を植えるにあたっては、あらかじめ苗木を生産しておくことが理想ですが、実現は難しいのが現状です。
たいてい植栽は工事の最後に発注され、時間のないなかで植物を調達して「植えて終わり」。
植物の成長は途切れることなく続くのに、生産→工事→管理がブツブツに切れているのが一般的です。

鎮魂の森の工事では、設計に計画地の土でつくった苗木であることが特記されており、生産者が安心して郷土の苗木づくりに取り組めたといいます。

公正の原則をどう守るか、適正な価格をどう担保するかなど、課題もあると思いますが、きちんと計画さえされれば、良質な苗木を確保することにつながったり、地域ぐるみの取り組みに発展するなど、苗木の生産は新しい価値を生み出す可能性があると思いました。

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これからは「森づくりに取り組みたい」と語る山本紀久さん

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増水の痕の残る野川

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野川公園で出逢ったエノキの古木。
鎮魂の森の木もやがて大木に成長していく――「その過程をわかって設計し、管理に関わることが重要だ」(山本さん)

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