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徳島、神山町「山あいのランドスケープ・デザイン会議」レポート

2019-08-27 (Tue)

8月25日、徳島、神山町で開かれた「山あいのランドスケープ・デザイン会議」で風土形成事務所の廣瀬俊介さんのお話を聞きました。

慶應大学SFCの石川初さんの研究室の3年間のフィールドワークまとめ展「神山ひとまわり」のナイト・イベントとして開かれたプログラムです。

会場は、神山町の中心を流れる鮎喰川のせせらぎが聞こえそうな神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス。

聞き手に、神山つなぐ公社の西村佳哲さん、石川初さん、田瀬理夫さんも交えて、廣瀬さんのお話が始まりました。

この夜のテーマは3つ。
1つ目は、東北の震災後に急速に進められた巨大な防潮堤建設の代替案を地域の人や様々な専門家の知見を集めてつくり、提案してきたお話。
(結局提案は受け入れられず、防潮堤は完成するのですが)
2つ目は、廣瀬さんが福島の早戸温泉地区で、町の人と協力して学生たちと取り組んでいる森の中に散歩道をつくる活動のお話。
そして3つ目に、廣瀬さんが考える「ランドスケープ・デザインの仕事とは」。

完成した巨大な防潮堤と、廣瀬さんたちがつくる早戸の散歩道と、彼と此との違いにクラクラしそうでしたが、石川さんはそれを「森の中の散歩道は見ていてホッとする、それは楽につくられているから。楽につくられたものは楽に修理もできる。
つまり、森の散歩道は現場で判断してつくられている。防潮堤は標準の仕様があって現場で判断しなくてもつくることができることを追求したもの」と鮮やかにまとめてくださいました。

廣瀬さんはランドスケープ・デザインの仕事を「生活者が主体となって風土をかたちづくることを支える技術」
「土地、地域と人の関係を結び直すところから始まるもの」
と語ります。

デザインというと、表に現れた形や色を思いがちですが、廣瀬さんのお仕事を見ていると、相手にしているのは水や風で、決して造形的ではないことを感じます。
もちろん、美しさもまた大切にされているのは間違いありませんが。

そうした在り方は田瀬さんにも通じるものがあるように思います。
田瀬さんも、理想は「landscape without landscape architect」とおっしゃることがあって、作為を廃し、あるべきものがあるようにある当たり前の風景をいつも考えているようにみえます。

廣瀬さんはご自分の事務所にノイバラを植えていらして、「(他所の土地に生えているのではなく)そこにあるものの良さを噛み締めるために植えた」とおっしゃっていました。

廣瀬さんが良く引用される詩の一節をご紹介します。

〝束の間の一瞬でさえも
 豊かな過去を持っている
 土曜日の前には自分の金曜日があり
 六月の前には自分の五月がある〟

〝この木はポプラ、何十年も前に根を生やした 
 この川はラバ川、流れはじめたのは 今日や昨日のことではない〟

ヴィスワヴァ・シンボルスカ『終わりと始まり』沼野充義訳

石川初さんが会の終わりに「わたしの金曜日と鮎喰川が初めて流れた日をどうつなげるか、ということかもしれない」とおっしゃった言葉が心に残りました。

3年間のフィールドワークの成果を集めた展示も見応えがありました。
私は個人的にFAB-Gのことがとてもきになっているのだけれど、そのお話はまた今度。


神山01.jpg
イベントの様子

神山02.jpg
会場の神山バレーサテライトオフィスコンプレックス

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